目の病気

網膜剥離

網膜剥離

 

網膜がはがれることを網膜剥離といいます

 網膜色素上皮細胞と神経網膜の接着は弱いので、何らかの原因で神経網膜が網膜色素上皮細胞からはがれて、硝子体の中に浮き上がってしまうことがあります。
 

 これが網膜剥離です。網膜剥離は、裂孔性網膜剥離と呼ばれる網膜に裂孔(裂け目)を伴うものが一般的です。

 

 

裂孔原性網膜剥離

 眼球の中の硝子体は、中高年になると、液化硝子体と呼ばれる水の部分ができて、眼球の動きとともに硝子体が揺れ動くようになります。
 

 硝子体と網膜が強く癒着している部分があると、眼球の動きで網膜が引っ張られ、裂孔ができてしまいます。
 

 その裂孔から液化硝子体が網膜下に入り込むと、網膜が簡単にはがれてしまいます。これが裂孔原性網膜剥離です。
 

 また、ボールが目に当たるなど、強い力が目に加わって網膜が剥離してしまう外傷性網膜剥離も、裂孔原性網膜剥離のひとつです。

 

その他の網膜剥離

 糖尿病網膜症では、出血しやすい血管を含んだ膜が網膜の上にできます。この膜が収縮して網膜を引っ張ると、網膜が剥離してしまいます。(牽引性網膜剥離)
 

 ぶどう膜に炎症があったり、眼内腫瘍などがあると、網膜血管や脈絡膜から血液中の水分が滲み出し、網膜下にたまって網膜が剥離することがあります(続発性網膜剥離)。
 

 このような場合、原因となっている疾患の治療を行います。

 

網膜剥離の検査

●眼底検査

 最も大切な検査は眼底検査です。これは、点眼薬で瞳孔を開き、眼底の様子を調べる検査です。硝子体出血などで眼底が見えないときには、超音波検査を行います。

 

●視野検査

 見えない部分の位置を調べる検査です。見えない部分と、病変の部分は対応しています。

 

 

アレルギー性結膜炎

 

アレルギー性結膜炎とは どんな病気ですか?

 
 花粉や住まいの中にあるほこりが原因になって起こる目のアレルギーのことをいいます。
 
 これらの原因物質をアレルゲンと呼びますが、特に住まいの中にあるほこりを、専門的にはハウスダストと呼んでいます。
 
 最近では、このハウスダストによるアレルギー患者が急増しています。花粉には季節性がありますが、ハウスダストは1年中室内にあるため、いつ病気になってもおかしくありません。
 
 したがってこのアレルギーを「通年性アレルギー」と呼び、花粉症と区別しています。
 
 結膜は外からの刺激や異物にさらされやすい組織で、涙などでいつも濡れています。ですから、ハウスダストや花粉がつきやすく、アレルギーが起こりやすいのです。
 
 

ハウスダストには、どんなものがあるのですか?

 
 ハウスダストには色々なものがあります。ほこりの中に混じって生きているダニ、ダニの紫外や糞、ヒトや動物のフケや毛、カビなども含みます。
 
 これらが無数のほこりとなって空中に舞い上がり、結膜につくと結膜炎、鼻の粘膜につくと鼻炎、吸い込むと気管支ぜんそくなどと、様々なアレルギー症状を引き起こします。
 
 この中で特に問題になるのがヒョウヒダニ属のコナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニです。ヒョウヒダニは、温度が約25℃、湿度が70~80%の環境が最も繁殖しやすいと言われています。
 
 最近の住まいは気密性の高いアルミサッシ窓が多く、冷暖房設備が整っています。
 
 ところがこの通気性の悪い環境がダニにとっては好都合で、特にじゅうたんは絶好の住み家になります。
 
 まさに人間自らハウスダストを作り出していると言って良いでしょう。
 
 

アレルギー性結膜炎の症状は?

 
 アレルギー性結膜炎の症状は、まず目やまぶたがかゆくなります。
 
 目をこすったり、かいたりしていると次第に痛みが加わり、目がゴロゴロした感じになります。そのまま放っておくと結膜が充血して、まぶたが腫れてきます。さらに症状が悪化すると、透明な角膜の周辺が赤紫色になって、結膜にゼリー状の目やにが出てきます。このような症状になると大変です。まず、かゆい段階ですぐに来院してください。
 
 なお、既に述べたようにアレルギー疾患は目だけにとどまりません。鼻炎、気管支ぜんそくなど身体の色々な所に色々な症状が出ます。
 
 鼻炎と結膜炎が一緒に症状として出ることもありますから、おかしいと思ったらすぐにご相談ください。
 
 
 

飛蚊症(ひぶんしょう)

 

「あなたも、一度は経験しているかも・・・」

 明るい所や白い壁、青空などを見つめたとき、目の前に虫や糸くずなどの『浮遊物』が飛んでいるように見えることがあります。
 

 視線を動かしてもなお一緒に移動してくるように感じられ、まばたきをしても目をこすっても消えませんが、暗いところでは気にならなくなります。
 

 このような症状を医学的に『飛蚊症(ひぶんしょう)』と呼んでいます。

 

目の前を浮かんで飛んでいる『浮遊物』の正体は、目の中にあったのです。

 眼球の中の大部分は、硝子体(しょうしたい)と呼ばれるゼリー状の透明な物質がつまっています。
 

 角膜と水晶体を通して外から入ってきた光は、この硝子体を通過して網膜まで達します。
 

 ところが硝子体に何らかの原因で「濁り」が生じると、明るいところを見たときにその濁りの影が網膜に映り、眼球の動きとともに、揺れ動き、あたかも虫や糸くずなどの『浮遊物』が飛んでいるように見え、飛蚊症として自覚されます。
 

 この「濁り」には、生理的な原因によるものと病的な原因によるものがあります。

 

※飛蚊症の症状に気がついたら、その原因が生理的なものか、病気なのかを自分で判断せず、眼科で検査を受けましょう!

 

飛蚊症の症状の急な変化は、目の病気を知らせるサインです!

 

■網膜裂孔・網膜剥離

 硝子体剥離やその他の原因で網膜に穴が開いたり(網膜裂孔)、その穴を中心に網膜が下の層から剥がれて硝子体の方へ浮き出す(網膜剥離)ことがあります。このような現象が起こると初期症状として目の前を飛ぶ『浮遊物』の数が急に増加し、放っておくと失明にいたります。

 網膜裂孔の治療はレーザー光線で裂孔の周囲を焼き固め(光凝固法)、剥離を防止します。これは通院治療で行えますが、網膜剥離を起こすと入院・手術が必要となります。

 

■硝子体出血

 糖尿病や高血圧、外傷などにより眼底で出血が起こり、その血液が硝子体に入ると、突然、飛蚊症の症状を感じたり、目の前に赤いカーテンを引いたように感じます。出血の量や部位によっては視力が著しく低下します。

 

■ぶどう膜炎

 ぶどう膜に細菌やウイルスが進入したり、眼のアレルギー反応により炎症が起こると、血管から白血球や滲出物が硝子体に入り込み、飛蚊症の症状を感じます。

 炎症がひどくなると『浮遊物』が増加し、視力が低下します。炎症を抑えるための内服薬や点眼薬で治療します。

 

※飛蚊症を初期症状とする病気は、いずれも早期治療が重要です。

 見える『浮遊物』の数が増えたり形が変わったり、視力が落ちるようであれば直ちにご相談ください。

 

 

緑内障

緑内障とは

 緑内障は、何らかの原因で視神経が障害され視野(見える範囲)が狭くなる病気で、眼圧の上昇がその原因の一つと言われています。

 

房水と眼圧

 目の中には血液のかわりとなって栄養などを運ぶ、房水とよばれる液体が流れています。

 防水は毛様体でつくられシュレム管から排出されます。

 目の形状は、この房水の圧力によって保たれていて、これを眼圧とよびます。

 眼圧は時間や季節によって多少変動しますが、ほぼ一定の値を保っています。

 

緑内障の種類

 緑内障にはいくつかの種類があります。
 

 眼圧が高くなる原因によって主に原発緑内障、先天緑内障、続発緑内障に分けられ、原発緑内障はさらに開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障に分けられます。

 

原発開放隅角緑内障

 房水の出口である線維柱帯が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇します。
 

 ゆっくりと病気が進行していく慢性の病気です。

原発開放隅角緑内障

正常眼圧緑内障

 眼圧が正常範囲(10~21mmHg)にも関わらず緑内障になる人がいます。これを正常眼圧緑内障と呼び、開放隅角緑内障に分類されます。
 

 近年行われた全国的な調査結果から、緑内障の約6割が正常眼圧緑内障であり、また欧米に比べて日本人に多いらしいことがわかりました。

 

原発閉塞隅角緑内障

 隅角が狭くなり、ふさがって房水の流れが妨げられ(線維柱帯がふさがれて)、眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります。

原発閉塞隅角緑内障

 

先天緑内障

 生まれつき隅角が未発達であることからおこる緑内障です。

 

続発緑内障

 外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障です。

 

 

 

 

ドライアイ

ドライアイの症状

  • 目が疲れやすい
  • 目が重い
  • 目が充血する
  • 目がゴロゴロする
  • 目が乾く

 

 「ドライアイ」とは、涙の量が減ったり、涙の成分が変わってしまうことで、目が乾き、角膜や結膜に障害がおこる疾患です。
 

 放っておくと視力が低下したり、目を開けるのが辛くなったりします。
 

 ただし、初期症状はとてもあいまいで、なんとなく目が疲れやすいなど自分で気づきにくいのが難点です。

 

ドライアイの検査

 気になったら、まず涙の量をチェックしましょう。

 当院では、視力検査などの基本的な検査のほか、涙の量や質がそのような状態にあるのかを検査しながら、ドライアイであるか、他の病気であるかなどを調べます。

 

白内障

 人の目は、よくカメラにたとえられますが、カメラのレンズに相当するのが水晶体です。
 

 水晶体は直径約9mm、厚さ4mmの凸レンズの形をしていて、膜(囊)に包まれています。
 

 この膜の前面が「前囊」、後面が「後囊」と呼ばれています。
 

 水晶体の中身は、透明な組織でタンパク質と水分から構成され、「皮質」と「核」にわかれています。
 

目の構造

 正常な水晶体は透明で、光を良く通します。しかし、様々な原因で、水晶体のタンパク質が変性して濁ってくることがあります。
 

 これが「白内障」です。
 

 水晶体が濁ると、光がうまく通過できなくなったり、光が乱反射して網膜に鮮明な像が結べなくなり、視力が低下します。
 

白内障の眼球

 

糖尿病網膜症

 目はカメラに例えられます。レンズは水晶体、フィルムは網膜に相当します。
 

 糖尿病の場合、レンズの濁りは白内障、フィルムの痛みは糖尿病網膜症にあたります。
 

 糖尿病の患者さんが視力障害をきたす主な原因は、この二つの病気が最も多いのです。

 

 糖尿病網膜症が出てくるには、糖尿病になってから、数年から10年くらいかかることが分かっています。

 糖尿病にかかってすぐに目にくるわけではありませんし、血糖コントロールをしっかりとすれば糖尿病網膜症が出てくるのを予防することもできます。
 

 重症な糖尿病網膜症になって失明したり、失明の危機に迫っている患者さんは全糖尿病患者の内の20%くらいと推定されます。
 

 こうした事態を避けるために、糖尿病の患者さんは、定期的に眼底検査を受けることが必要です。

 

糖尿病網膜症は大きく分けて三段階で進行

1. 単純糖尿病網膜症

 針の先で突いたような小さな点状出血、それよりやや大きめの斑状出血、毛細血管が膨らんでできる毛細血管瘤、脂肪やたんぱく質が沈着してできたシミ(硬性白斑)、血管が詰まってできたシミ(軟性白斑)などが眼底所見として見えます。
 

 視力には全く影響がなく、血糖コントロールを良くしていると自然に消えていきます。

 

2. 増殖前網膜症

 軟性白斑というシミが多数出てきたり、血管が詰まって酸素欠乏になった部分があちこちに出てくると、新生血管が出てくる前段階になります。
 

 静脈が異常に腫れ上がったり、毛細血管の形が不規則になります。正確な状況をつかむために蛍光眼底造影(血管造影)をすることがあります。
 

 この段階でも視力に影響がありませんが、危険な状態に一歩踏み込んでいます。この時期にレーザー光凝固をすると最も良い効果が得られます。

 

3. 増殖網膜症

 新生血管(正常ではないはずの新しい血管が硝子体にのびてくる)、新生血管が破れて起こる硝子体出血、増殖膜、網膜剥離という重症な段階です。
 

 新生血管が出てもまだ自覚症状はありません。
 

 この段階でレーザー光凝固をすればまだ間に合うことも多いのですが、硝子体出血や網膜剥離を起こすと、なかなか自然に治ることは少なくなります。
 

 この段階になって目の中に煙のすすがたくさん出たり、赤いカーテンがかかるなどの自覚症状が出てきますが、相当に進んでしまって手遅れに近いのです。
 

 

 これらの三段階がどのくらいのスピードで進むかは、人によって違います。
 

 血糖コントロールがきちんと行われている人は進むのが遅く、また最終末期の網膜剥離にまで至らずに、途中で進行が止まり安定することも多くあります。
 

 概して比較的若い人(40~50歳以下)は進行が速いので注意を要します。

 

 

中島コンタクト

中島コンタクト

タグクラウド